みかづき / 森 絵都 読了

つい先ほど読了で、まだ興奮状態なのですが、、、
こんなに夢中で読んだ本は久しぶり!!

そもそも、手に取ったきっかけは、長女がつい先日通い始めた塾の塾報の1ページ目に、中学入試国語出典の本がずらりと列挙されていて。
へぇ、まぁうちは私立の中学校受けないけども、どのレベルの文章が試験で使われてるんだろ、と興味を持ったのが最初。
で、ネットでも中学受験に出る本を調べてて、一番最初に私の興味にヒットしたのが「みかづき」。
真正面から塾を扱った小説を、公立の中学校が取り上げてる、みたいな触れ込みに非常に興味を持って読んだのだけど、めちゃくちゃ面白かった!!!!

まず、教育の正解の無さ。
その通りだ、本当に。誰にも分からないし、何年後、何十年後かにならないと分からない。
そして、教育者の資質というか。
やっぱり、吾郎さん、最高だよなぁ。
子供が答えを出すまで、しっかり待つ。これ、ほんとできないよなぁ。。。
ただまぁ、千明の義憤だって、間違ってはいなくて(それがまぁ、教育だっていう、そこが底流になっている)、国の方針によってコロコロと変わる指導要綱。
その理不尽さに立ち向かえる根源が知力だ、と。
しかもそれは、公的な教育では得られない。

司馬遼太郎さんが、小説を書くモチベーションについて、戦時中に、いつから日本はこんなおかしな国になったのだ?という、当時の自分の疑問に対して、日本はこういう国なのだ、ということを伝え続けること、っていうのを見かけたけど、千明を前進させるエネルギーは、まさにそこ。
世の中の不条理から身を守るために、自分の頭で考えられる人間を増やしたい。
そういう意味では、吾郎さんは最初から、求められるがまま、自分のありったけを差し出す。何をしたい、っていうより「人を助けたい」っていうモチベーション。
吾郎と千明が結婚するまでのいきさつに、恋愛要素全く書かれてなくて、千明は講師としての吾郎が必要だったし、吾郎は、蕗子ちゃんと頼子さんと茶々丸に懐柔されてしまう。
・・・あーそう、この小説、割と難しい言い回しが多い。

でも、もう言っちゃう。
ネタバレなんてのも、もう、今更だしね。
書いちゃう!
何より、恐ろしくハッピーエンド。
みんな、みんな、最後、とても幸せになっている。
教育者の子供が不幸せになっちゃいけないよね。
もちろん、教育者自身も。
それがまた、読後感が最高にグーーーーーッ!!!で。
フィクションとは言え、やっぱり、特に長い小説だしさ!
苦労して読んだ読者に対して大団円を用意してくれてるのはありがたい。

一つだけ、考察。
名前。
まず、主人公の千明(ちあき)。
多いのは、千秋、こっちの方だよなぁ。そして、彼女はずっと満ちることの無い月に例えられてたんだよ。
でも、最後、関わった人たちみんな幸せになった。
用務員室から吾郎を引っ張り揚げたのも千明、・・・そして、結局、共同経営の塾から追い出したんじゃなくて、彼女なりの不器用なやり方で吾郎を自由にさせてあげたのも千明。
結局、千も明るい。彼女なりのやり方で周りを照らしてた。
なるほどーーーー!!!!全部今、なんか腑に落ちた。
娘たちの名前が蕗子、蘭、菜々美、植物なんだよ。
色々、反目したりあったけど、結局、千明が娘たちを照らし続けていたんだ。
そして、長女の色々と気を使う蕗子は、春の芽のように柔らかで。
蘭は、どぎついほど美しく厳しくて。
菜々美は、野に咲く花のように、親しみやすく、染まりやすく。
なるほどねぇ。
そして、もう一人の主人公の吾郎。
そこに対して、頭脳だけは引き継ごうとした義理の娘の蕗子の息子の一郎。

結局、赤坂の家の3世代を見守る小説なのか。
いや、本当に、面白かったし興味深かったし、夢中になった!